シルヴィア王妃は旧姓をソメラトといい、1943年にドイツ人実業家の父とブラジル人の母の間に生まれました。家族はブラジルへ渡り、1947年からの10年間をサンパウロで過ごした後、再びドイツに戻りました。通訳者としての教育も受けており、スウェーデン語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、そして英語の6カ国語を操ります。また、結婚前にはミュンヘンのアルゼンチン領事館での勤務経歴を持ち、フライトアテンダントの経験もあります。
現国王と出会ったのは、1972年のミュンヘン・オリンピック。ボランティアをしていた当時のシルヴィア・ソメラトに、カール・グスタフ皇太子が一目惚れをしました。当時を振り返って現国王は、その出会いを “clicked(ピンときた)”と表現しています。1976年の3月に婚約が発表され、そのわずか3カ月後の6月19日にストックホルム市内の大聖堂で挙式。世界的に有名なポップグループのABBAが、スウェーデンのTV放送で「ダンシング・クイーン」を披露するなど、スウェーデン中が祝賀ムードに包まれました。その後、長女の皇太子ヴィクトリア、長男のカール・フィリップ王子、次女のマデレーン王女の、3人の子どもをもうけています。
国際的に「福祉国家」として知られるスウェーデンを象徴する王室もまた、福祉活動に意欲的に取り組んでいます。中でもシルヴィア王妃の活動は幅広く、スウェーデン国内外での子どもの権利、特に性的搾取を受けている子どもたちに対して大きな関心を寄せています。1999年には、シルヴィア王妃自らが先頭に立ち、世界子ども財団(World Childhood Foundation)を設立。世界の子どもたちの社会的、心理的、そして貧困からの保護を目指した財団で、これまでに15カ国における75以上のプログラムを支援しています。1997年には、子どもの人権保護に関するセミナーに基調講演者として来日。日本における子どもの権利に関する法律の制定に一石を投じました。また、シルヴィア王妃はメントール(Mentor)という青少年を麻薬乱用から保護することを目的とした財団の設立においても、イニシアチブを取っています。
シルヴィア王妃は高齢者福祉にも力を入れており、アルツハイマー病を患った自身の母親の介護経験から、シルヴィアホーム(Silviahemmet)の設立に貢献しました。1995年にスタートしたこの施設は、スウェーデン郊外にある緑豊かな邸宅を改築したもので、認知症の高齢者のデイケア、認知症専門の介護者養成、そして認知症に関する研究の3つの役割を担っています。日本をはじめ、世界各国からの視察団や研修生を受け入れ、世界的な認知症ケアの向上において牽引的役割を果たしています。
シルヴィア王妃のこうした活動は、世界中で支援を待っている子どもたちや高齢者に大きな希望を与えるものとして、今後さらに注目されていくことでしょう。
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