IP電話ソフト「Skype」がものすごい勢いで世界を席巻しています。ダウンロード回数は、公開後の1年半で1億回を突破しました。同ソフトを知人と共同開発したのが、スウェーデン出身のニクラス・ゼンストロム氏。超人気ソフトKaZaAの開発者としても知られます。
同氏は、スウェーデンのウプサラ大学でビジネスと物理工学の学位を取得。さまざまなビジネスに携わった後、ヤヌス・フリス氏と共同で2003年にSkype Technologies S.A.(本社・ルクセンブルク)を創立しました。社員は70人ほどと小所帯ながら、世界の大手電話企業やIT関連企業の熱い注目を集めています。ゼンストロム氏は現在、同社のCEO(最高経営責任者)として、スカイプのさらなる開発、普及の最前線に立っています。
スカイプの魅力は、なんといっても誰もが自由に使えること。ブロードバンドにつながっている自分のパソコンにダウンロードしてインストールし、パソコンにマイクやヘッドフォンをつなげばすぐに通話を始められます。これらの操作に特別な知識はいりません。若者だけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんまで利用できます。
そのうえ、ソフトのダウンロードは無料。スカイプのユーザー同士なら、通話も無料です。スカイプのネットから固定電話や携帯電話に通話するSkypeOutや、その逆のSkypeInを利用するときなどに有料となります。それも国際電話で1分間2、3円ほど。「国際電話は高い」との常識を完全に打ち破りました。 さらに、一般の固定電話より高音質。WindowsやMacOS、PDA(携帯情報端末)などのさまざまなプラットフォームで使え、チャット、ファイル転送、複数の人と同時に会話ができる会議電話の機能などもあります。
現在、同ソフトの利用者は世界200カ国、1300万人以上に上ります。日本でも最近、本格的なサービスが始まりました。ライブドアのホームページからソフトをダウンロードできます。ゼンストロム氏がスカイプを思いついたのは、KaZaAのビジネスを始め、次の展開を模索していたとき。「旧来型の電話手段はもはや大きな意味をなさない。エンドユーザーが使っているパソコンを活用したほうが、ずっと効率がよいはず」と気づいたのがきっかけです。
電話は1世紀にも及ぶ技術。これからはそれを変えていかなくてはならない−。ゼンストロム氏の目指しているものは、誰もが自由に、適当なコストで、しかもよりよく利用できる通信サービスでしょう。スカイプの普及で、スウェーデンをさらに身近に感じられる日が、もうすぐそこに来ているのかもしれません。
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