「今のままの生活をあと2世代続けたら、100年後、地球は人類が生存できないような環境になる可能性が非常に高い。みんなが先進国のライフスタイルをしたら、地球があと3つ必要になる。それほどたくさんの資源を現在、使っているんです」。スウェーデンでは、この「持続不可能な」発展・ライフスタイルを、1世紀以内に「持続可能な」発展にすることを目指しています。
講演会やコラム執筆、ラジオ出演などを通して、環境対策への取り組みを訴え続けているペオさん。10代の頃から環境活動に関わり、その後旅行ジャーナリストに。世界60カ国を巡るうち、各国が抱える環境問題を目の当たりにしました。
「ある国が抱える問題の解決方法を、別の国が持っていると気づいたんです。スウェーデンがやってきた環境への取り組みは、日本にとって必ず役に立つ。ぜひ利用してほしいです」
日本に来て14年。来日のきっかけは、旅先で親しくなった日本人を訪ねて九州に住んだこと。日本の暮らしや文化にすっかり魅せられ、その後東京へ移住。環境コンサルタントの仕事を始め、1997年に国際環境ビジネスネットワークOneWorld(ワンワールド)を設立しました。
「地域の情報誌で環境コラムなどを書いたりするうち、ごく自然にこの仕事につきました。スウェーデンは小さな国ですが、日本は世界に対して大きな影響力を持っています。日本が明確なビジョンを持ち、環境対策に本気で取り組んだら、世界も変わると思うのです」
自分の役割はパズルを組み立てるようなもの、とペオさんは話します。具体的にはどのようなことをしているのでしょうか?
「環境問題にはゴミや水、エネルギーの問題、温暖化など、さまざまな要素があります。私の仕事はそれぞれの分野を専門的に掘り下げるよりも、持続可能な社会の発展という目的に向かって、必要な要素を組み合わせていくこと。そして伝えること。スウェーデンには素晴らしい成功事例がたくさんあります。バイオマスなどのグリーンエネルギーで動くバスやハイブリッドカーは当たり前のように街を走り、家庭でのごみのリサイクル率は79%にもなります。ちなみに、現在東京23区のリサイクル率はわずか14%です。しかし、スウェーデンの人達は自分達がやってきた取り組みに無自覚で、世界に向けてアピールしない。せっかくの財産が埋もれたままなんです。だから私は、スウェーデンの財産を日本に伝えたい。日本にはノウハウがありますが、スウェーデンにはショウハウ(show
how)があるんです」
スウェーデンと日本がビジネスレベルで協力すれば、お互いの国のためだけではなく、世界の進化にも貢献できると語るペオさん。ビジネスでも、環境対策は必要だと強調します。
「今、スウェーデンでは環境対策に無関心な企業は支持されません。あるホテルチェーンは、家具や部屋の鍵など備品から朝食まで環境に配慮した製品を選び、ごみを減らし、再生可能なエネルギーを導入してエネルギーの無駄を省いています。これらをはじめ8年間で1500の取り組みを実施し、約55億円の赤字を約52億円の黒字へと転換することに成功しました。日本でもエコを掲げる企業がたくさん出てきていますがぜひ、こうしたスウェーデン企業の成功例を利用してほしいです。同時に今、スウェーデンでも持続可能な社会を達成するために、日本のさまざまな環境技術を利用しています。日本にとってもよいビジネスチャンスだと思いますよ」
最後に、面白いエピソードをひとつ。実はペオさんはサッカーのリフティングの世界最高記録保持者でもあるのです。
「前回のワールドカップの開会式イベントで、リフティングを披露することになったんですが、ただ続けていてもつまらない。だからリフティングしながらTシャツを脱いでパフォーマンスをして見せたんです。スウェーデンのユニフォームを脱いだら、その下は日本のユニフォーム。とってもうけましたよ」
ペオさんのような人材がいま以上に必要とされる社会へ。
日本はスウェーデンのように成長できるでしょうか。
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