33歳にして、ベテランシェフ顔負けの輝かしい経歴をもつマーカス・サミュエルソン。クリエイティブで洗練された彼の料理はグルメのニューヨーカーたちを熱狂させ、スウェーデン料理を一躍有名にしました。WEF(世界経済協議会)の選出する「Global
Leaders for Tomorrow」にも選ばれるなど、いまやアメリカで最も注目されているシェフのひとり。まずは簡単に彼の経歴を紹介しましょう。
1970年エチオピアで生まれ、スウェーデンはイェーテボリの家庭に養子として迎えられます。祖母の影響で料理に目覚め、イェーテボリの料理学校へ進学。卒業後はスイス、オーストリア、フランスで修業を積み、アメリカへ。
1994年、24歳の若さで高級レストラン「アクアビット」のエグゼクティブシェフに指名され、親しみやすく洗練された北欧料理で人気を博します。翌年には、ニューヨークタイムズ誌のレビューで3つ星レストランの評価を受け、最年少シェフとして紹介されました。「アクアビット」は、2001年にも再び3つ星レストランに選ばれ、サミュエルソン自身も99年にジェームスベアード財団の「Rising
Star Chef」、2003年には同財団の「Best Chef New York City」を受賞しています。
そして2004年、ミッドタウンのコンテンポラリーホテル「アレックスホテル」内にレストラン「Riingo」をオープン。スウェーデン料理の魅力を広く知らしめた彼が、今度は和食とモダンアメリカ料理に挑戦しています。店内には寿司カウンターがあり、日本人の寿司職人が腕をふるいます。モダンアメリカ料理は同じくスウェーデン出身の人気シェフ、ヨハン・スヴェンソンが担当。新鮮な寿司とともに、神戸牛とサーモン、マグロを盛り合わせた「トリオ・タルタル」など、ユニークなメニューが並び、話題のシェフの料理がリーズナブルに楽しめると連日、賑わっています。
店名は、日本語のりんごから。ニューヨークのニックネームであるビッグアップルにちなんで付けられました。北欧とアジアの料理には共通する美学や感覚がある、と考えるサミュエルソンはレストラン経営のかたわら、「Riingo」のシェフたちと共に日本語をはじめ、日本文化を日々吸収しているそうです。
レストラン以外での活動にも積極的で、北欧文化を紹介しているスカンジナビアハウス内の「AQカフェ」では、気軽なカフェスタイルでスウェーデン料理を紹介しています。2002年には初の料理本『En
Smakresa(味の旅)』を、2003年秋には『アクアビットとニュースカンジナビア料理』を出版。慈善活動にも意欲的で、ユニセフのスポークスマンとしても活躍。また高校生のためのプログラム、C-CAP
(Careers Through Culinary Arts Program)の指導者も務め、料理への情熱を若い世代に伝えています。
料理を武器に、文化や仕事の壁を軽々と乗り越えていくサミュエルソン。これからの活動にも目が離せません。
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