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アスベスト禁止令から新たなアイデアが生まれた

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  迅速な対応も、アスベストの被害は食い止められなかった




2005.12.15

スウェーデンでは、1960年代に約3000種類もの利用形態でアスベストが使用されていたといいます。スウェーデンでアスベスト使用禁止令が発令されたとき、断熱材業界は急激な変化を迫られました。また、建設業界や自動車業界でも新しい商品の開発が急ピッチで進められました。世界に先駆けてアスベスト禁止令が出されたスウェーデンにおいて、生き残りをかけた建築/自動車業界の対応をご紹介します。


安全にアスベスト除去を行うためには防護装備が不可欠
アスベストは、健康被害という致命的なリスクがあると同時に、非常に有用で扱いやすい物質であるため、世界中の人々を悩ませています。アスベストは取り扱いが簡単で、力学的に耐久性が高いうえに伸縮自在。さらに耐熱性にも優れ、断熱性も高く、化学物資への耐性が高いなど、利用価値が大変高いのです。


スウェーデン国営放送を含むラジオ局やテレビ局スタジオにもアスベストが多く使用されています
耐熱服や断熱材など、約3000種類もの利用形態があるアスベストはまさに万能材です。建築物の鉄骨の上から充填したり、解綿として建物の断熱材に使ったりもできますし、耐火性や防音性にも優れるため、スタジオやコンサートホールの天井に充填されることもあります。優れた代替材料を見つけるのは、容易なことではありません。各社それぞれが独自の方法でアスベストの代替材料の開発を進めていました。

新しいタイプの断熱材

最初にアスベストの代替材料を見つけたのは、建設業界でした。アスベストは、パイプの絶縁・断熱に使用されたり、セメントと混ぜて通常断熱用の解綿として充填されたりしていました。

当時、スウェーデンで最もアスベストの販売量が多かったメーカーのひとつであるグルファイバー(現サンゴバン・イソヴェール)は、禁止令発令後、自社にとってアスベスト分野がどれほど大きかったかを悟りました。そして1970年代以降、同社はそれまで当然のようにアスベスト製品を使用していた分野に向けて、アスベストを代替するさまざまな断熱材製品の開発に注力しています。

建設業界ではもう一社、アスベスト禁止令のおかげで大きな発展を遂げた企業があります。パロック(元ロックウォール)社です。同社は高い断熱性と耐久性、そして耐火性にも優れた石綿状物質とよばれる独自の断熱材製品の開発に成功しました。

自動車業界も新製品を開発

自動車業界ではかつて、大きなトラックや自家用車などのブレーキ被覆として、アスベストをよく使用していました。アスベスト禁止令のおかげで、北スウェーデンのロングセレにある欧州屈指の企業、ブロムスバンドファブリーケン社は大きく方向転換を迫られました。同社は、アスベストを使用したものよりも優れた技術的特性を持ち、耐久年数も長いブレーキライニングの開発に成功。同製品はたちまちヒット商品になりました。禁止令は会社にとっても、同社の拠点がある小さな村にも、大きなプラスとなりました。


アスベスト除去の際には場所を隔離し、健康に害のある粉塵をできるだけ多く吸い出せるように負圧をかけます
さらにもう1社、代替製品を開発した自動車メーカーがあります。ケヴラン社です。アスベストの代替材料として、炭素繊維物質を採用しました。1980年代の終わりから90年代初めにかけて、スウェーデンのアスベスト除去/解体業者が大きく業績を伸ばしたことも特筆すべきでしょう。アスベストの除去・解体に特化した、まったく新しいタイプの壁業者が発達しました。建設会社の多くもまた、アスベスト除去に乗り出しました。1990年代初め、不動産危機および財政難でスウェーデンの建設業界が記録的に落ち込んでいた当時、彼らは生き延びる道を模索していたのです。

現在では、すべての業界がアスベストを代替する製品を使っています。スウェーデンのマスコミは、これらの新材料についてよく議論しています。アスベスト関連で今でも収入を得ているのは、たとえば戸建て住宅のオーナーが地下室のパイプを交換する際にアスベストで絶縁・断熱されているのを発見した時に出動する、アスベスト除去業者くらいのものです。アスベストが健康に害を与えるという認識は、すでにスウェーデン国民の中に深く根付いているのです。



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