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> 経済的な豊かさと環境改善を両立する「緑の福祉国家」の先駆的な取り組み

> 欧州環境都市ストックホルムの取り組み

> 持続可能な社会へ向けたクリーンテックプロジェクトの挑戦

> 健康と環境に配慮したIT機器を認証するTCOラベル

> 持続可能な社会づくりを推進するスウェーデンのエコラベル

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経済的な豊かさと環境改善を両立する
「緑の福祉国家」の先駆的な取り組み
持続可能な社会へ

スウェーデンには「自然享受権」があり、豊かな自然の恩恵を受けるのは人権のひとつと考えられています
© Benny Karlsson

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> 欧州環境都市ストックホルムの取り組み
(Opportunity Sweden 2009年6月号)
2009.12.10
環境先進国、スウェーデン。他国に先駆けて環境対策に取り組んできたスウェーデンの先進的な試みと成果は、世界中から高い評価を集めています。特に注目すべきことは、経済成長と環境対策を見事に両立している点です。
持続可能な社会へ
環境共生住宅地 Hammarby Sjöstad
© Johan Töpe

2009年2月、スウェーデンの首都・ストックホルムが欧州のほかの35都市をおさえ、欧州委員会より第1回欧州環境首都賞を受賞しました。欧州環境首都賞は、環境に配慮した街づくりを目指し、先進的な取り組みを行っている都市に与えられます。ストックホルムでは、「2050年までに化石燃料を撤廃する “Fossil Fuel Free City”」という目標を掲げ、市が予算組立から計画、監視まで統合的なマネジメントシステムを構築。その土台の上に展開される政府や自治体の積極的な取り組みが、生物多様性や生態系の保存と、人々の生活の質向上につながっていることが高く評価されました。
こうした環境保全活動は、スウェーデン全域で活発に行われています。特に注目すべきは、温室効果ガスの排出量を削減しながら、GDP(国内総生産)を大幅に増加させている点です。スウェーデン環境省のレポートによると、1990年から2007年までの間にGDPは48%増加し、温室効果ガスの排出量は9%削減。これは、相反すると思われがちな環境への配慮と経済成長とが、両立できる好例となっています。

持続可能な社会へ
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スウェーデンが環境政策に本腰を入れ始めたのは、1970年代です。1960年代、工業化の進展によって環境汚染が深刻化。次第に議論が活発になり、環境保全への意識が高まっていきます。1967年には環境保護庁が設置され、1969年には環境保護法が制定。この法律の特徴は、「予防」の視点から成り立っていることでした。つまり、問題を起こす可能性に着眼し、環境に有害だと思われる活動を規制する働きを持っていたのです。1988年には環境政党が初めて議会で議席を獲得し、気候変動問題が政策課題として取り上げられます。これを機に環境問題への取り組みは加速し、1991年には、行政改革の一環として二酸化炭素税が導入されます。さらに1999年には環境法典が制定され、環境政策の基軸としての役割を果たすようになります。

数々の環境政策の中で、特にスウェーデンが力を入れてきたのがエネルギー政策です。1991年に採択されたエネルギー政策法では、省エネルギー、再生可能エネルギーの利用、可能な限り化石燃料を回避することなどを規定。さらに1996年、ヨーラン・パーション首相が施政方針演説の中で掲げたビジョン、「福祉国家から緑の福祉国家へ」の実現を促す柱の1つとして、「エネルギー体系の転換」を挙げています。
こうしたエネルギー政策の中で絶大な効果を生んだのが、1991年に導入された二酸化炭素税でした。化石燃料に含まれるCO2の量に応じて課税することにより、相対的にC02排出量の少ない天然ガスや自然エネルギーへのシフトを促そうとするものです。この税制の特徴は、対象によって税負担が区別されている点にありました。現在CO2排出量1トン当たり108ユーロですが、輸送部門、地域暖房部門、一般家庭部門には100%が課される一方、きびしい国際競争にさらされている産業界や農業には大幅な減税措置がなされ、21%のみが課せられます。
また、さまざまな助成制度も大きな役割を果たしました。バイオ燃料によるコージェネプラントの設立には、設備投資額に対して最大25%の助成金が支給されたほか、風力発電プラントには最大15%の助成と発電電力量に応じた補助金の支給が、小規模水力発電プラント(100〜1500kW)にも最大15%の助成がなされました。これらの支援策の多くは2002年末で終了しましたが、2003年からは再生可能エネルギー証書取引システムが導入され、再生可能エネルギーが市場で取引されるようになっています。

こういったインセンティブは、クリーンテック産業の発展を促しました。バイオ燃料、風力発電、太陽光発電、廃棄物処理やリサイクル技術などの中でも、特にバイオガスエネルギーの発展は著しいものでした。現在スウェーデンで稼動しているバイオガスプラントは、約230カ所。森林資源を利用したバイオエタノールやジメチルエチルの生成、木質バイオマスによる熱と電力の生成など、多種多様なバイオ燃料が製造されています。クリーンテック産業の発展に並行して、エネルギー源も大きく転換。総利用エネルギーに占めるバイオガスエネルギーの割合は、1970年の9%から、2007年には29%まで上がっています。経済成長とCO2削減の両立は、こういった構造により可能になっているのです。また2005年、政府は近未来社会にて石油不要のシステムを作ることを宣言。現在、バイオエネルギー技術のよりいっそうの活用とその発展に努め、セルロースやディーゼル、水素など、新技術への投資も検討されています。

人間と環境の両方を大切にするという決意が込められた「緑の福祉国家」への道を、スウェーデンは着実に進んでいます。その歩みは、まだまだ留まるところを知りません。2009年3月、スウェーデン政府は「統合気候・エネルギー政策法案」を提出しました。同法案の主な目標は、2020年までに、1990年比で温室効果ガスの排出量を40%削減すること。これは、EU全体の目標である30%を大きく超える数値です。政治の強力なリーダーシップと、国全体に浸透している個人の利害関係を超えた環境保護の概念。スウェーデンの取り組みとその姿勢は、今後も世界に向かうべき方向を示す指針であり続けることでしょう。



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