スウェーデンではクリスマスには七面鳥ではなく豚を食べるのが習わし。ユールボードでも「ユールフィンカ」という豚のハムが主役です。これはマスタードやパン粉をぬってじっくりとグリルしたハムで、この季節にしか食べられない特別なメニュー。豚足も好んで食べられています。また干したタラをクリスマスの前に一週間ほど漬け込んで煮た「ルートフィスク」もクリスマス名物のひとつで、溶かしバターと胡椒をたっぷりとかけていただきます。クリスマスイブ以外に、イースターなど他の祭日の前夜に登場することもあります。他にはミートボールやニシンの酢漬け、サーモン料理、クネッケブレッドなど、おなじみのメニューもテーブルに並びます。
食事の最後は、お米をミルクとシナモンで煮込んだデザートで締めくくります。これはスウェーデンのサンタクロース、トムテの大好物でトムテのためにこれをお供えするのを忘れるとトムテの機嫌が悪くなるのだとか。また鍋に一粒のアーモンドを入れておき、自分のお皿にアーモンドが入っていた人が次に結婚するという言い伝えもあります。
各ビール会社が発売するクリスマス限定ビールも、この時期ならではのお楽しみ。通常のものより黒くて少し味が濃く、ユールフィンカなど塩味のきいた料理にぴったりの味わいです。子供たちには「ユールムスト」というルートビールが用意されます。もちろんスウェーデン産ウォッカも欠かせません。ユールボードはクリスマスイブに家庭で食べるものですが、12月になるとユールボードを用意するレストランもたくさんあります。

スウェーデンの伝統的なクリスマス
料理
。ジンジャークッキーと
サフランパン
©Swedish Institute |
スウェーデンのクリスマスの準備は、ショウガをたっぷり入れたジンジャークッキー「ペパカカ」を焼くことから始まります。星型やハート、もみの木などさまざまな形で焼き上げ、オーナメントとしてツリーに飾ることもあります。ペパカカは、クリスマスシーズンに欠かせない「グロッグ」というワインと一緒にいただきます。グロッグは、赤ワインにシナモンやカルダモンなどのスパイス、レーズン、アーモンドなどを入れて温めたホットワインで、スウェーデンでは毎年5万リットルものグロッグが消費されるそうです。
1年で最も暗い時期にあたる12月13日に、スウェーデンでは「ルシア祭」が行われます。光の聖女ルシアを讃える伝統的な行事で、コンテストで選ばれた少女が聖ルシアに扮して街中を行進します。ルシア祭を迎えると、だんだん日が長くなります。ロウソクを灯した冠をかぶった聖ルシアの姿が、長く暗い冬を過ごす人々に明るい光の希望をもたらすのです。

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