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スウェーデン企業の特許技術を活かして
日本初のオーツ麦飲料を共同開発

アサヒフードアンドヘルスケア株式会社
ダイレクトマーケティング事業部
商品開発部 シニアチーフ
井口佳則さん


アサヒビール株式会社
研究開発戦略部 副課長
石原裕子さん

> アサヒフードアンドヘルスケア
> アサヒビール
> Oatly AB
2007.12.14
アサヒフードアンドヘルスケア株式会社は、スウェーデンのOatly AB(オアタリー)と共同開発で、スウェーデン産オーツ麦を主原料とした飲料『飲むシリアル』を製造し、2007年9月から発売しています。オアタリーの特許技術で加工された原料を使い、アサヒフードアンドヘルスケアで日本市場向けに味や栄養成分を調整して、独自の商品に仕上げました。この共同開発について、商品のコンセプトワークを担当したアサヒフードアンドヘルスケアの井口佳則さん、コーディネートを担当したアサヒビールの石原裕子さんにお話を聞きました。

―オアタリー社との共同開発が始まったきっかけを教えてください。

石原さん「アサヒビールグループのグループテーマが『食と健康』です。新商品を開発するにあたり、食と健康に気を配り、豊かな生活を送る国としてスウェーデンという国がイメージとして浮かび上がりました。そこで、スウェーデン大使館に相談したところ、『食と健康』をキーワードとする食品関連企業を何社か紹介するので視察してみては、とご提案いただいたのです」


ルンド大学で行われたオアタリー社のプレゼンの様子
2005年9月にアサヒビール研究所の所員ら3名の視察グループがスウェーデンを訪れ、ルンド大学で9社からプレゼンテーションを受けました。その中の1社であったオアタリー社が製造・販売する、オーツ麦を主原料とした飲料『オーツミルク』に興味を抱き、早速アサヒビールグループ企業内で商品化への検討が始まったといいます。

オアタリー社はスウェーデンのランドスクローナ(Landskrona)に本社を置く、オーツ麦をベースとした食品の調査・開発・マーケティング・販売を手がける企業です。オーツ麦飲料は、低カロリーで高栄養、しかも乳不使用で低アレルゲンなため、スウェーデンのみならずヨーロッパ全域で人気が高まっています。アサヒビールグループも、日本で市場が成長している豆乳に次ぐ新しい健康飲料として、興味を持ったそうです。

―オアタリー社との共同開発は、どのように進んだのでしょうか?

石原さん「まず、オアタリー社の『オーツミルク』を輸入してそのまま販売するのか、またはオアタリー社のオーツ麦原料を使い、当グループで日本市場向けにアレンジした独自の商品を作るのかという選択肢がありました。検討した結果、飲料をそのまま輸入・販売するには、高輸送コスト・賞味期限の問題があること。また、オーツ麦の味をそのまま活かした『オーツミルク』は、麦に親しみのある欧米人とは違い、日本人の口には合わないなどの理由から、オアタリー社のオーツ麦原料を使い、当グループ独自の商品を作るということが決まりました」

オアタリー社のオーツ麦原料である『オーツパウダー』は、特殊な処理を行ったオーツ麦をミルク化し、それをもう一度粉末化した、いわば濃縮還元のようなオーツ麦のパウダーです。この加工技術は、日本および欧米などで特許を取得しており、同じような技術を持つ企業をアサヒビールで調べたところ、ほかにはなかったそうです。

―アサヒビールグループでは、どのような商品を目指したのでしょうか?

井口さん「グループ企業内の関連部署で、オーツパウダーを使ったクッキーやミルクセーキなど、さまざまな商品の試作を行いました。私が所属するアサヒフードアンドヘルスケア ダイレクトマーケティング事業部商品開発部では、できるだけ原料の風味や栄養成分を活かした飲料を試作し、提案しました。日本ではまだ一部のシリアル食などで使用されているだけのオーツ麦の良さを伝えるには、その方向性がベストだろうということになったのです」

このような決定を受け、井口さんは、年々増加している朝食を食べない人に向けて『飲むシリアル』として、手軽に朝、栄養を摂れる飲料を作りたいと考えたそうです。そこで味、容量、パッケージ、栄養成分などについて試行錯誤が始まったといいます。

井口さん「まず栄養成分に関しては、オーツ麦由来のものがほとんどですが、厚生省が発表する栄養素等表示基準値に合わせ、鉄、カルシウム、7種のビタミンを日本人が1日に必要とする量の約1/3、食物繊維は6g加え、1食分の主要な栄養素を摂れるようにしました。味に関しては三温糖などを加え、ほんのり甘く、口当たりの良いテイストに仕上げています。またパッケージに関しては“スウェーデン産オーツ麦100%”という文字を目立つように入れ、容量は小食の女性でも一度で飲みきれる125mlにしました」

―『飲むシリアル』は現在、通信販売のみで扱われていますが、それはなぜでしょうか?


『飲むシリアル』はインターネットなど通信販売限定での取り扱い。現在は18本入りの1箱単位で販売しており、1箱2,520円(税込)。

井口さん「まず、『飲むシリアル』を商品化したのが、ダイレクトマーケティング事業部であったこと。加えて、通信販売だと売上げなど商品の動きがつかみやすく、また興味のある消費者に向けて、eメールなどでピンポイントの広告を打ちやすいこと。さらにご購入いただいたお客様から意見を聞きやすいなど、『飲むシリアル』のような実験的な商品を販売する場合、さまざまなメリットがあるからです。実際に今年12月から来年1月にかけて、すでにご購入いただいたお客様にアンケートをお願いしようと思っています」

 

―スウェーデンの企業とビジネスを行ったご感想は、どのようなものでしょうか?

石原さん「私自身、海外の企業と共同開発を行うのが初めての経験でした。そのため、契約などでとまどうことが多かったのですが、おおむね順調に進みました。オアタリー社とのビジネスで印象深かったのは、とてもストレートに自社の技術や商品の良さをアピールしてきたこと。自社の技術や商品に対し、高い誇りと強い自信を持っていることが強く心に残っています」

―今後、『飲むシリアル』はどのように発展していくのでしょうか?

井口さん「これからのアンケート調査の結果にもよりますが、ほかの流通態勢、例えば小売店などで販売する可能性はあります。また現在、味の種類は1種類ですが、イチゴやバナナなどの味も加えてバリエーションを増やし、ブランドとして育てていくことも考えています」

スウェーデンにおける食品ビジネスの投資機会は、素材の輸入だけにはとどまりません。スウェーデン企業と日本企業のコラボレーションにより、新商品開発の可能性もあります。このようにさまざまな可能性を持つスウェーデンの食品ビジネスの魅力に是非、目を向けていただければと思います。ISA東京では、食品ビジネスに関するご相談をお待ちしております。




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