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スウェーデン学術機関との
理想的な協業を実現
> 大日本住友製薬株式会社
> カロリンスカ研究所

2006.06.19
住友製薬(現大日本住友製薬)は、アルツハイマー病専門の海外研究センターの開設地として、米国、英国、ドイツなどの大国を退け、スウェーデンを選びました。同センターは、アルツハイマー病の研究における世界的権威であるベングト・ウィンブラッド教授のもと、ストックホルムのカロリンスカ研究所との共同研究施設としてスタート。カロリンスカ研究所住友製薬アルツハイマー病研究センター(KASPAC)と名付けられました。
カロリンスカ研究所住友製薬アルツハイマー病研究センター(KASPAC)
KASPACは、ストックホルム郊外南部のフーディンゲにあるカロリンスカ大学病院に隣接し、約20名のスタッフを擁しています。カロリンスカ研究所にあるアルツハイマー病研究センターは、欧州で最大規模のアルツハイマー病研究施設です。

大日本住友製薬は神経科学を重点研究分野のひとつとしており、中でもアルツハイマー病が現在の優先研究課題のひとつとなっています。大日本住友製薬薬理第2研究グループの上級研究員伊藤彰氏は、今のところ、アルツハイマー病の根本原因となるベータアミロイドの脳組織への蓄積に効く薬は開発されていないと言います。

臨床に基づく研究に焦点

より臨床に基づいた研究手法を確立するため、住友製薬(現大日本住友製薬)は優れたアルツハイマー病研究機関の提携先を国外に求めました。「臨床に基づく研究を進めるために必要なデータや試料で、日本の製薬会社が入手できるものは非常に限られています」と、伊藤氏。
住友製薬(現大日本住友製薬)は、スウェーデンのカロリンスカ研究所を提携先に決める前に、4カ国の研究センターを検討しました。「カロリンスカ研究所はアルツハイマー病研究において、間違いなく世界最高の研究所のひとつです。優秀な人材と優れた設備を有し、さらには貴重な脳バンクの試料を利用することもできます。基礎研究と臨床研究を統合するカロリンスカ研究所の能力は、他に類を見ません」

こうして2000年、アルツハイマー病研究の世界的権威であるベングト・ウィンブラッド教授をディレクターに迎え、KASPACが発足しました。研究目標は、有望なアルツハイマー病薬の開発です。この目標には、アルツハイマー病の発症につながる分子機序の解明や、治療薬創製の対象となる新しい標的分子の発見、候補となる化合物の探索も含まれています。

当初5年の期限を延長

これまでのところ協業は成功している、と伊藤氏は言います。「遺伝子、ベータアミロイドの生成、ミトコンドリア機能に関するプロジェクトで、わたしたちの研究は重要な進歩を遂げました。トップクラスの科学誌にもすでに10以上の論文を発表しています」。さらに、KASPACでの発見に基づいた高速スクリーニングモデルが大日本住友製薬内に構築されています。

この協業を通して大日本住友製薬は、アルツハイマー病の臨床分野に実績のある優秀なスウェーデン研究者との交流や、バイオマテリアルの利用、自社研究員のトレーニングが可能になりました。「わたしたちは、こうした貴重な体験のすべてが、価値の創造や競争力の向上につながっていくと確信しています」と伊藤氏。当初5年の計画だったKASPACプロジェクトの期限が延長されたことが、この共同研究が実りあるものであることを何よりも物語っています。

研究活動の方向づけとモニタリング

KASPACにおけるトップレベルのマネージメント組織は、カロリンスカ研究所の2名と大日本住友製薬の3名から成るジョイント・ステアリング・グループ(JSG)です。JSGのメンバーは年に2回、ストックホルムもしくは大阪で会合を開き、KASPACの活動に関するあらゆる問題について議論や決議を行います。

さらに、JSGミーティングの初日にはKASPACの各プロジェクトリーダーが会議に参加し、過去6カ月間のプロジェクトの成果について科学的な討論を行います。プロジェクトリーダーが2カ月に1回提出するレポートや、テレビ会議もまた、KASPACの研究活動のモニタリングに役立っています。

研究者の独立性を尊重

ゲノム科学研究グループのプロジェクトリーダーである医学博士のキャロライン・グラフ氏は、これまで多くの委託研究を請け負ってきました。しかし、大日本住友製薬での研究はこれまでのものとは違うと言います。「他の委託研究と比較すると、研究チームの独立性が大幅に認められている点がユニークです。大日本住友製薬の指示に従うのではなく、KASPACチームのアイディアに沿って研究が進められています。しかし、スウェーデンのチームが単独の研究施設として切り離されているわけではありません。これは、JSGによる明確な目標設定、継続的なフォローアップ、評価によって高度に組織化されたプロセスなのです」

大日本住友製薬は、研究員がKASPAC以外でも研究などの仕事に携わることを奨励しています。たとえばキャロライン・グラフ氏は、KASPACとカロリンスカ大学病院の両方に勤務し、大学病院では診察なども行っています。研究員が臨床の現場にいることは、KASPACにとって大きな強みとなります。臨床試験に協力してくれる患者を探しやすいなど、さまざまな利点があります。また、KASPACは質の高い組織バンクも有効に活用しています。フーディンゲ大学病院にある脳バンクには、計600の痴呆症患者の脳と200の対照脳が蓄積されています。

大日本住友製薬も全面的に支援

企業と学術機関の協業を成功させるためには、研究者に独立性を持たせるか、少なくとも独立の気分を味わわせなければならない、とグラフ氏は考えています。「それは間違いなく可能です。KASPACでは実現しているのですから」。また、KASPACのチームは日本にある大日本住友製薬のデータや試料、設備を利用することもできるため、KASPACの設備では実施できない規模で合成タンパク質を製造することも可能です。「ある物質が薬になりうるかを調べるテストやスクリーニングでも、大日本住友製薬の支援を受けています」とグラフ氏は言います。

グラフ氏はまた、科学アドバイザリーボードで定期的に評価を受けられることにも感謝しているといいます。「学術機関の研究者には、そのような機会はめったにありません。しかし、この評価のおかげで、KASPACの共同研究では発見を患者の元で実現させようという大きなビジョンを持つことができるのです」。伊藤氏も同様に、非常に前向きです。「すでにいくつかの特許を出願していますし、有望な標的分子も数多く見つかっています。わたしたちの努力が実を結ぶ日も近いでしょう」

注:大日本住友製薬は、大日本製薬と住友製薬の合併により2005年10月1日に発足しました。

 

ISA東京のサポート

スウェーデン大使館投資部(ISA東京)とストックホルムのISA本部は、KASPACの設立に、あらゆる段階で深く関わってきました。以下は、実際にISAが実施したサポート内容です。

住友製薬(現大日本住友製薬)を何度も訪問し、スウェーデンのバイオ分野における視察団を紹介。
住友製薬(現大日本住友製薬)の研究責任者が、国外での研究施設の開設を検討し始めた際、同社にスウェーデンを推薦。
住友製薬(現大日本住友製薬)の研究者のスウェーデン訪問に同行。アルツハイマー病研究におけるカロリンスカ研究所の実績を報じる膨大な数の神経科学の記事を紹介し、同研究所をアピール。
カロリンスカ研究所と住友製薬(現大日本住友製薬)の関係構築をサポート。
科学者雇用のコスト、研究施設設立のコスト、ランニングコストを見積り、住友製薬に提示。
研究施設とその構造および戦略の方向性を定める関係者間の議論に参加し、コスト見積りを同意に導く。

 

 




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