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学問分野の垣根を越えて
次世代の医療機器を開発


日本大学工学部
次世代工学技術センター
工学博士
ウメオ大学名誉博士
尾股定夫教授

> 日本大学工学部
> バイオレゾネーター
> タウザー研究所
2006.03.15
日本大学工学博士、尾股定夫教授は15年の長きにわたり、スウェーデン王立ウメオ大学と次世代の医療機器に関する共同研究を続けてこられ、ウメオ大学発のバイオベンチャーの設立にも貢献しました。その功績が高く評価され、2005年10月に同大学より、日本人として初めて名誉博士号を授与されました。尾股教授に、共同研究の内容や今後の抱負などをうかがいました。

-ウメオ大学との共同研究の経緯について教えてください

1991年に開催された京都国際会議で、「位相シフト法を利用した硬さ測定用触覚センサー」について発表したところ、ウメオ大学のオロフ・リンダール教授が興味を示し、共同研究の提案をいただきました。リンダール教授は当時博士号の取得に向け、スウェーデン北部で発生する風土病、エデマ(浮腫)の定量的な診断方法に関する学位論文を作成している最中だったのです。翌年にはウメオ大学のバイオエンジニアリング学部に客員教授として約4カ月間滞在。その後も、毎年ウメオ大学と日本大学工学部を相互に訪問しながら共同研究を続けてきました。

-共同研究の内容は、具体的にはどのようなものなのでしょうか

ウメオ大学と共同開発した眼圧診断装置

皮膚など、生態の弾力を計測するシステムの開発です。人に伝えることが難しい触覚を数値で表して画像化し、定量的な診断を可能にすることがひとつの大きな目的です。日大工学部発のベンチャー企業として私が立ち上げたタウザー研究所が持つ、触覚センサーの技術が母体となっています。この触覚センサーは超音波を使用するもので、従来技術よりはるかに高精度な検査が可能になります。このセンシング技術を供与することにより、眼圧診断装置を開発するバイオレゾネーター(BioResonator)というベンチャー企業がウメオ大学から生まれました。現在、開発はほとんど終わり、同じスウェーデンのリンショーピン大学から生まれた医療分野のベンチャーファンド、リンクメッド(LinkMed)が出資し、製品化しようとしています。

-さまざまな分野の企業や研究機関がかかわっているのですね

スウェーデンをはじめ欧米では、医学と工学がうまく連携して医療機器の開発を行っています。ウメオ大学のバイオエンジニアリング学部がその好例です。また、クラスターを形成することでさまざまな分野の専門家が、学問の垣根を越えて活発にディスカッションできる環境が整っている。これは日本にないシステムで、非常に参考になります。このようなシステムがないと、次世代の医療機器はなかなか生まれてきません。

-それで、福島県にそのようなシステムを構築しようと?

スウェーデンや米国の研究機関との共同開発の中で学んだノウハウを、福島県に導入していきたいと考えています。福島県は機器や薬品など、医療関連分野の生産額で日本一を誇ります。優れた企業がたくさんあるのに、これまでだれもそれらをつなげる努力をしてこなかった。しかし、私たちの活動がきっかけとなり、地元の中小企業や自治体が動き出し、お互いに協力して新しい医療機器を開発しようという機運が生まれてきました。

-行政も動き出しました

2003年に、日本貿易振興機構(ジェトロ)が実施しているローカル・トゥ・ローカル(LL)プロジェクトに福島県が選ばれました。そこで私がオロフ・リンダール教授を紹介し、3年計画でスウェーデンとの医療機器分野における産業交流が始まりました。スウェーデンと福島県内の企業同士のビジネスマッチングなどで、ISA(スウェーデン大使館投資部)も積極的に支援しているようですね。このプロジェクトにより、郡山市内の企業とウメオにある企業の技術提携も新たに決まりました。また、同じ県内でありながらあまり交流のなかった福島大学、会津大学との共同研究もできるようになりました。

-尾股先生は米国とも共同研究されていますが、スウェーデンの特徴は何でしょうか?

スピードですね。スウェーデンの人たちはがむしゃらに働くということはなく、夏期休暇も1カ月間しっかり取ります。開発のスピードが速いとは言えませんが、日本や米国のようにこれがダメだったらすぐ次というのではなく、一度目標を定めたら確実に達成していきます。その姿勢は素晴らしいと思います。ゆったりとした時間の中で、熟成していくような感じがいいですね。研究者には恵まれた環境と言えるでしょう。

-昨年末、ウメオ大学から名誉博士号を授与されました

ウメオ大学名誉博士号授与式典の様子
技術供与し、バイオベンチャーの設立に貢献したことや、LLプロジェクトの推進などの活動が評価されたようです。私ひとりだけの力で受賞した訳ではありません。10月に行われた授賞式は、伝統の重さを強く感じさせるものでした。


受賞式後のレセプションにてリンダール教授(右)と
医学部門、サイエンス部門、文学部門とさまざまな部門があり、受賞者ひとりひとりに音楽が流れ、その人の功績を読み上げます。日本のように以下同文で終わらせることはありません(笑)。準備やリハーサルなどを重ねた後、セレモニー自体が夕方5時から始まり、食事会、ダンスパーティを経て、終わったのは深夜の2時でした。個人の功績を最大限に評価し、盛大に祝おうという姿勢が伺えました。これらは、400年前から続く伝統のようです。

スウェーデンの式典恒例のダンスパーティ

-今後の目標をお聞かせください

触覚センサーを採用した乳がんチェッカーの開発を目指しています。携帯電話くらいのサイズで、女性が家で手軽に検査できるようなものです。超音波を当てるだけなので、マンモグラフィのように手間もかからず、痛みもありません。スウェーデンで臨床試験を行い、同じくバイオレゾネーターで製品化しようとしています。この他にも、前立腺診断装置、尿失禁診断装置、外科手術支援装置などを予定しています。触覚センサー技術は、さまざまな医療分野に応用できる可能性があります。リンダール教授にも、もっと私たちの大学や国のプロジェクトに入っていただく予定です。今後はさらにお互いを行き来することが増えるでしょう。

 




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