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産学連携で市場が求める
機能性食品を開発
イデオン・アグロ・フード
プロジェクトリーダー
マグヌス・ラグネヴィーク氏

> イデオン・アグロ・フード

2006.12.20

「食料は私たちに生きる力を与えるものです。栄養価はもちろんのこと、味や摂取のしやすさなど、さまざまな面でバランスが取れていなくてはなりません」 と語るのは、イデオン・アグロ・フードのプロジェクトリーダーである、レナート・リンダール氏。イデオン・アグロ・フードは1986年にスウェーデン南部、ルンドのサイエンスパークで発足した機能性食品の開発を手がける財団です。

イデオン・アグロ・フード設立の目的は、農業と食品業界の企業や研究機関の連携を強化し、消費者に健康増進効果の高い新たな食品を提供すること、さらにはこれらの活動を通し、スコーネ地方の農産物の加工技術を向上させることです。イデオン・アグロ・フードには経済、機械製造、化学、産業化学、バイオテクノロジー、パッケージデザイン、パッケージ物流、植物栽培、医学、食品技術、グローバル分析など、さまざまな分野の学術/産業界で活躍する12名が集結。リーダーとして各プロジェクトを統括し、計画の遂行に必要な人材を各々の裁量で採用しています。財団の会員リストには、農業従事者やその他食品産業界をはじめ、小売業を含む24の会社や団体が名を連ねています。

リンダール氏は、消費者が店頭で商品を選ぶ際に決め手となるのは、価格ではないと言います。買い物客にアンケートを取ると、多くの人々が健康に良く、手軽に取れることを商品選択の条件に挙げました。イデオン・アグロ・フードが20年前に発足した当時、スコーネ地方の農業従事者たちは良い原材料の合理的な生産だけでは、市場で生き残ることはできないと気付いていたのです。

食品による人体への悪影響を低減

スウェーデン農業の歴史を語るうえで、重要な3つの年があります。まず、1986年に農業政策における規制緩和が実施されました。1995年にスウェーデンはEUに加盟、2004年にはEU拡大により加盟国が増大しました。
「現在では農産業市場における競争が激しくなり、食品業界と同様に農業従事者も、生き残っていくためには、より高い付加価値を持つ新たな商品が必要です」と、リンダール氏同様、イデオン・アグロ・フードのプロジェクトリーダーで、ルンド大学の企業経済教授であるマグヌス・ラグネヴィーク氏は強調します。

近年、世界的に「機能性食品」という言葉が乱用され、基準があいまいになっていますが、スウェーデンで機能性食品の表示が許可されている商品はごくわずか。確実に健康増進効果が期待できるものに限られています。イデオン・アグロ・フードは現在、食品による人体への悪影響を低減する機能性食品に焦点を当てています。たとえば、コレステロールを低下させるビールの開発など。この新しいビールは“ビールをもう一杯!”というキャッチフレーズで間もなく商品化されます。

また、食品に含まれる脂肪分を削減する食品の開発も進めています。開発に携わった製品の例としては、コレステロール、乳糖、グルテン、動物性脂肪を含まないチーズ・スプレッドがあります。ベジタリアン向けで、遺伝子組替作物は使用されていません。ラグネヴィーク氏は「国際的に肥満は重大な社会問題となっています。この問題の改善には、ライフスタイルにおける食べ物の役割を本質から理解する必要があります」と、述べています。

高齢者のための栄養強化食品

前述のように、イデオン・アグロ・フードではさまざまな社会問題をきっかけに製品開発を行っています。「ワルキューレ(Valkyrien)」プロジェクトは、高齢化社会の進行をきっかけにスタートしました。リンダール氏は、高齢者の栄養問題を次のように指摘しています。
「70歳以上の高齢者の約40パーセントが噛んだり、飲み込んだりするのが困難な状況にあります。咀しゃくが不十分だと栄養がきちんと摂取できず、欠乏症や栄養失調を引き起こすことにもなります」

ワルキューレは、高齢化社会に向けた“瓶に入ったソリューション”です。1瓶に1食分のプロテイン、炭水化物、脂肪、ビタミンそしてミネラルがバランスよく配合されており、350ミリリットル入りで500キロカロリー。古くからスウェーデンの食生活に多く取り入れられてきた大豆がベースで、化学物質による旨味成分で構成された既存のエネルギー食品と異なり、栄養満点でありながらおいしく、安全です。高齢者にも摂取しやすく、加齢と共に起こりがちな栄養失調を防ぎます。

ワルキューレは各産業界、医療業界、マーケティング/経済分野の学術機関、およびスコーネ地方の代表が集まった小規模なプロジェクトチームによって開発されました。2007年春には上市される予定です。

日本企業との協業の可能性

ワルキューレは、ある日本の乳製品企業にも紹介されました。即協業というわけにはいきませんでしたが、同企業が財団を訪問した際、イデオン・アグロ・フードが設立以来の20年間で培ってきた産学連携のシステムに多大な関心を寄せたと言います。ラグネヴィーク氏は、将来的には日本企業との協業が実現することを確信しています。
「コレステロールを低下させるビールはもちろん、日本市場にとっては大豆をベースとしたワルキューレも興味深い製品に違いありません」

イデオン・アグロ・フードは、付加価値の高い食品の開発・供給において、世界でもトップレベルと評価されています。このため、さまざまな国が同財団の知識を得ようとルンド・サイエンスパークに食品分野の研究センターや調査機関を設置しています。

リンダール氏とラグネヴィーク氏は、食べ物が身体に与える影響に対する興味や認識の高まりが、財団発展の追い風になっていると言います。イデオン・アグロ・フードは、プロジェクト開始に合わせて産業界や大学から専門家を招聘するため、スタッフを増員せずにプロジェクト数を増やすことができます。この柔軟性を効果的に活用し、現時点で約60のプロジェクトが同時進行しています。

イデオン・アグロ・フードは、スコーネ地方の食品産業の原動力となっています。同財団の元で製造者、研究者、生産者、そしてもちろん消費者までがそれぞれの立場から問題を提起し合い、適正なコスト、健康な生活、そしてより高収益を実現する食品原料の利用方法を日々、模索し続けています。

 



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