きれいな水は健康と幸福の源。水はそれ自体、生命の象徴でもあります。スウェーデンは、数百年も前から伝統的に自然および環境保全に高い関心のある国です。これに伴う活発な環境政策もあり、スウェーデンは深刻な環境汚染や大気汚染を免れてきました。
地中には、カルシウムやマグネシウムのようなミネラル物質が豊富で、この恵まれた大地が地下の水脈に浸透する過程で雨水をろ過しています。スウェーデンの一般家庭はほとんど市営の水道を使っており、地中からポンプで汲み上げた水が家庭や企業に配給されています。水質も良く保たれており、いつでも蛇口の水をそのまま飲むことができます。このため、ボトル入り市販水の国内消費量はさほど高くはありません。他の欧州の国では平均で年間1人140リットルのミネラルウォーターを飲んでいますが、スウェーデンではその10分の1、わずか14リットルです。
水の供給が安定しているため、その水を利用しようと、スウェーデンでも複数の企業がボトル詰めの水を世界中の意識の高い消費者に向けて販売しようとしています。その中の代表的な2社が、ガス入り水のマルムベリ・オリジナル・ウォーター社と、ガスなし水のアクアテレナ社です。これらの会社は競争相手というよりも、ターゲット層を同じくし、お互い補完関係にあります。このターゲット層とは、スウェーデンの水脈から生まれるきれいで自然なミネラルウォーターに価値を見出す、品質に対する高い意識を持つ消費者なのです。
マルムベリ製品は「水のシャンパン」
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澄んだ微炭酸水がマルムベリ・ミネラルウォーターの特徴 |
マルムベリ・オリジナル・ウォーターはごく微量の炭酸が入った水をシンプルなデザインの瓶に詰め、スウェーデンとデンマークのバーやレストランを中心に販売しているほか、フランス、プロヴァンスのグルメレストランなどにも少量出荷しています。一方、一般の消費者が買い物をするような日用品のスーパーなどでは販売していません。将来的には炭酸を加えずに、原水をそのまま瓶詰めにするという計画もあります。
「わが社は長期的な視野で成功する企業となるために、自社商標を大切にしています。私どもの水はユニークできれい。地中深い源泉の水は5000年前のもので、人為的な汚染の影響を受けていません。味もワインのエキスパート、ソムリエからのお墨付きで「水のシャンパン」と呼ばれるほど。食事とワインを補う最上級の飲み物です。ですから、私たちの水はスウェーデンとデンマークで最高級のバーやレストランに向けて販売されているのです」と語るのは、マルムベリ・オリジナル・ウォーター社のニクラス・リンドブラード氏。
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マルムベリ社セールス・マネージャー ニクラス・リンドブラード氏 |
同社は1990年に最初の製品を発売。今では、EUのナチュラル・ミネラルウォーターに関する厳しい基準を満たすミネラルウォーターを、年間約100万本販売しています。
「わが社の水は源泉が地下245メートルの安全な場所にあり、自然圧力で垂直に湧き出ています。自社の地所を掘る際、偶然見つかった源泉なんです」と、代表取締役でこの家族会社を所有するペール・マルムベリ氏。
ここ数年、輸出の問い合わせが世界各地からありますが、今はすべて断っているそうです。その理由を同氏は、世界市場に出て行く段階ではあるが、自社の水と同じように海外の代理店にもクオリティーの高さを要求するため、としています。自社製品に匹敵するクオリティーの高さとは、すなわち、ホテル、レストラン、デリカテッセン・ショップ、健康食品店などのターゲット層に訴求するために、最適な流通経路を意味しています。
最後にニクラス・リンドブラード氏は「当社はまだ小さな会社ですが、大きな考えを持っているんですよ」と、コメントしました。
アクアテレナは品質に絶対の自信
アクアテレナは比較的新しい会社で、設立してまだ3年目。スウェーデン南部、スコーネ地方の肥沃な平原の真ん中にあり、水脈からの距離はわずか30メートルです。この水脈がアメリカ、スペイン、イギリスなどで国際的な成功をもたらしました。
「アクアテレナは世界最上級の水として、よく引き合いに出されます」と、代表取締役のペール・ヴィークマルク氏は満足そうに語ります。
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アクアテレナは健康に気を使う消費者向けのスティル・ウォーター |
アクアテレナの水は、アメリカで行われる国際的な水のテイスティング大会である、バークレー・スプリング・ウォーター・テイスティングの2004年大会において、世界一の水として、2002年に引き続き2度目の金メダルを受賞しています。高評価の理由のひとつに、健康を促進するミネラルとトレーサー元素のバランスがあります。この水を、キャップを開けるまで空気に触れさせない高度な技術によってボトル詰めし、高品質と長期保存を可能にしています。また、背景には世界の飲料水市場が人工的な味付けや甘味料から、健康的で洗練された澄んだ味のミネラルウォーターに移行していることもあります。
「わが社の水は炭酸が入っておらず、スティル・ウォーターと呼ばれるガスなしの水です。だからこそ、源泉の質がさらに問われるのです」と、ヴィークマルク氏。
水脈は地下100メートル。現在ポンプで吸い上げられる水は約100年もの、つまり20世紀初めの水です。スウェーデンではミネラルウォーターを飲む人は比較的少なく、飲まれる場合も約90%は炭酸入りのものです。「ボトル入りの水は泡が入ってるものでなきゃ。そうじゃなければ水道の水を飲めばいいんだから」というのが一般的な考え方です。そんな中、アクアテレナは健康、高品質のイメージを得ることに成功しており、今のところ、主に健康食品店やスポーツ業界で売れています。国内で活躍するスポーツ選手も、そのミネラルの組み合わせからアクアテレナを選ぶそうです。年間販売量は年間合計、1億2000万リットルに達しています。
「私どもは、品質を変えることはしません。ガスなしの水を買うなら、完璧にきれいで良いものでなければ。こういった観点から、当社は日本市場に期待を寄せています。健康に気を使い、長寿命な日本人は、大変意識の高い人々です。価値の分かる日本の消費者には、レストランやバー、温泉施設などでアクアテレナの製品を愛飲してもらうチャンスが十分にあると確信しています」と、ヴィークマルク氏は締めくくりました。

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