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独自のノウハウで車内の音環境を改善
Visco-Lam担当
プロダクトマネージャー
ベンクト・ニルソン氏

> Trelleborg Rubore AB

2007.03.29

スウェーデンのカルマルに本社を置くトレルボルグ・ルボレ(Trelleborg Rubore)は、自動車のディスクブレーキパッド向け騒音抑制材の製造において、世界をリードする企業です。同社の騒音抑制材「Visco-Lam」は、欧州を中心に大手自動車メーカーに採用実績を築いています。Visco-Lam担当プロダクトマネージャー、ベンクト・ニルソン氏にお話をうかがいました。

「自動車産業界では現在、いかに音をデザインするかに注目が集まっています。運転時に耳に届く音は、心地良いものであるべきでしょう。当社の騒音抑制材Visco-Lamは、主に周波数500Hz以上の騒音に対し、抑制効果を発揮します。周波数が高くなればなるほど、その吸音効果も高まります」と、ベンクト・ニルソン氏は自社製品を説明します。Visco-Lamはエンジンのオイルパン内などに取り付けることで、金属音やガタ音削減効果を発揮し、車内のエンジン騒音対策として使うことができます。

「自動車が引き起こす一番の環境問題は排気ですが、それに次ぐ問題が騒音なのです」とニルソン氏。欧州連合(EU)の「車の環境への影響に関する規制」にて取り上げられているのは、今のところ排気ガス規制のみですが、2009年には規制強化が予定されており、騒音も規制の対象となる見込みです。

Visco-Lamは、プレートを2枚重ね合わせた積層板で、コーキング材(部材の接ぎ目に使用する充填材)には粘弾性ポリマーを使用しています。ニルソン氏は、トレルボルグ・ルボレ製品の吸音性能は、他社にはそう簡単には真似できない、と胸を張ります。
「トレルボルグ・ルボレのユニークな点は、吸音に関する優れたノウハウを有しているところです。鋼板やアルミ板を用いた積層板なら、どこの会社でも製造できるでしょう。しかし、Visco-Lamの吸音性能の秘訣は、プレートとプレートを張り合わせる目的で開発した粘弾性中間層にあり、これが騒音抑制に一役買っているのです」

この積層板による遮音効果は用途によって異なりますが、たとえばオイルパンにVisco-Lamを使用した場合、通常、エンジン全体の可聴周波数帯域レベルを約1から2dB下げることができます。Visco-Lamの特性は、構造内の共鳴を減少させることにあります。Visco-Lamを使用することで、共振周波数の振動レベルを10から15dB減少させることが可能です。積層板には、従来の鋼板、アルミ、またはステンレス板が使用されています。

ブレーキのアスベスト対策からスタート

トレルボルグ・ルボレは、ゴムならび複合材料を基盤とした高機能ソリューションの開発を手掛けるグローバル企業、トレルボルググループの一員です。自動車産業は、これまで長年に わたってトレルボルグの主要な取引先となってきました。トレルボルグ・ルボレは、自動車ブレーキへのアスベスト使用禁止令と共に生まれた会社です。アスベストはブレーキから大気中に飛散します。アスベスト繊維を吸入すると、石綿肺、肺ガン、胸膜炎を引き起こす可能性があり、最悪の場合、死に至る危険性があります。

アスベストによる健康被害が判明し、1970年代終わりにその使用禁止令が出されて以来、さまざまな代替品が開発されました。ところが、これら代替品を含有するブレーキを踏むと、騒音が発生するという欠点があり、この騒音が運転者をいら立たせる要因になってしまったのです。

そこでトレルボルグ・ルボレは、この問題を解決するため、ブレーキパッドに装着しただけで騒音抑制効果を発揮するブレーキシム(ブレーキ鳴き止め薄板)を開発しました。ブレーキパッドがブレーキドラムやブレーキディスクに押し付けられると、このスペーサーが振動や騒音を吸収します。

あらゆる加工プロセスに対応

アスベストを含まないブレーキの騒音対策向けの開発製品を基に、自動車内の騒音を抑制し、より良い車内の音環境作りに適した製品へと発展させたのが、2001年に発売されたVisco-Lamです。この騒音減衰性に優れた素材を最初に採用したのは、ダイムラー・クライスラー社のエンジン製造部門でした。

「この素材はエンジン、駆動系騒音の低減に適しており、さらにはタイヤハウスやエンジンルーム、車内を区切るメタルボードにも応用できます」と、ニルソン氏は言います。 遮音性、共鳴減衰といった特性を備えたVisco-Lamは、前述のようにオイルパンのような部品に使用できます。また、自動車産業における従来の鋳造ラインやツール、生産プロセスにも適応。アプリケーションによってはわずかな修正のみで、車体やエンジンの微細加工部向けにVisco-Lamを成型することもできます。
「トレルボルグ・ルボレはお客さまと共同で製品作りを行うことを目指しており、お客さまの製品ラインに適応するための努力は惜しみません。そのためには、当社の積層板には成型しやすいと同時に溶接の熱にも耐えられるといった、あらゆる加工プロセスに対応できる特性を持つ素材を採用しなくてはなりません」

日本メーカーからの関心も高い

遮音積層板は、従来の鉄鋼もしくはアルミ製品の改良品と言えます。鋼板は鋼帯の形で供給され、トレルボルグ・ルボレにて鋼板を張り合わせ、厚さ0.64〜2.25 mm、最大幅1500 mmで納品します。摩耗したVisco-Lam積層板はスクラップとして回収し、製鋼所高炉にてリサイクル処理されます。
「トレルボルグ・ルボレでは、Visco-Lamが当社の主要製品になると考えています。現在、同製品はボルボ・トラックなどに採用されていますが、欧州で現地生産している日本自動車メーカーにも拡販していきたいと考えています。また、本製品とは別の積層板ADMは、すでにマツダが採用しています」

ニルソン氏は、トレルボルグ・ルボレが提供する製品に対する、日本メーカーの関心は高いと言います。
「もちろん、日本国内の鉄鋼メーカーによる同種の製品が市場に出回っていることは承知していますが、当社製品に匹敵するほど優れた吸音性能を備えた製品は、他にはないでしょう」

 



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